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みんなでつくろう! こどもの切り紙 そらのぼうけん うみのぼうけん
ようやく発売になりました。
こどもの切り紙 2冊同時発売です。
9つの扉絵と挿絵を描きました。
是非、手に取ってみて下さい。

amazonのリンクはこちらから→ そらのぼうけん うみのぼうけん
 




創造的進化 (ちくま学芸文庫 ) [文庫] アンリ・ベルクソン (著) 合田 正人 松井 久 (訳)

創造的進化 (ちくま学芸文庫 ヘ 5-3) アンリ・ベルクソン (著), 合田 正人 松井 久(訳)

 僕の兄が何をやっているかというと、フランスで哲学をやっているといるのですが、フランスで哲学って言っても哲学を少しも勉強していないと、哲学者の名前もでてこない次第です。
 兄はアンリ・ベルクソンという人の研究をしているらしいのですが、僕は実はどんな人かも知りません。論文を書くのと平行して、この本の訳と解説を書いたらしいのでちょっと読んでみようかと思うのだけど、理解できるか不安です。また、翻訳が兄の口調とかでてくるのか心配です。兄はパーフェクトと完璧をあわせた俗語で「パーペキ」とか言うのですがそんなニュアンスが訳にふくまれているのでしょうか?うーーん。

 兄弟って不思議なもので、兄って言う存在は弟にとって永遠にお兄ちゃんなんですね。ときどき暴君ぶりを発揮されてもそんなことは慣れっこで永遠にお兄ちゃんは小さい頃からのお兄ちゃんで。 やはり人生のはしばしでナイスアドバイスやちょっと頭のいいところなんかを感じているのでこりゃかなわんなって思い続けてしまうわけで。

 でも、僕もしめしめと思った瞬間がありました。それは兄が普通にテレビ関係の会社に就職した時です。いやああ、あんときはしめしめ、これで兄は普通のサラリーマンか!ふふふふ。と、なんだか、思った覚えがあります。別に普通のサラリーマンって悪いことではないのですが、本当に兄がしたい仕事か?って。そんなちょっとした優越感はあっという間に終わることになります。
 
 すぐに、この就職は違うって思った兄は突然、「哲学」を勉強するって言い始めました。
考えてみてください、自分の兄貴がいきなり、哲学宣言です。バックミュージックはブルース・スプリングスティーンのborn to runです。
いやあああ、ロックです。参りました!
あと、それでなくっちゃ、お兄さんって思いました。

 その、哲学をする宣言から10何年、翻訳、解説というかたちだけど、かたちとして残せたことを祝福したいと思います。

『ユリシーズ』 第4号  "Ulysses" #4



ユリシーズ 連載4回目 マイルス・ディビスを描きました。店頭で是非。
先日、終了しましたがタワーレコードで第4号発売イベントがありました。
途中で次に予定があり中座しましたが、雑誌をつくっている人の熱が持続している限り、よい雑誌であり続けるなって思いました。
大貫憲章さんが「渋谷陽一にユリシーズを見せたらこの雑誌は売れない」と言われたみたいなことを言われてましたが、確かにロッキンオン的な考え方でいくとユリシーズは異端な雑誌なのだろうけど、はたして今ロッキンオンを読むか?ってことだと思います。ある意味ロッキンオンは戦犯だなって。音楽業界のあり方を変えてしまったのかなあっと。フェス、レコード会社との連携でほめてるだけの雑誌になってしまっているのかなあっと。まあ、僕がとやかく言ってもどうしようもないのでしょうが。

 

『ユリシーズ』第4号 "Ulysses" #4

OPINION
知られたくない若者たち 永江朗
音楽|を|と|の|遠くまで 近藤康太郎

ジョー・ヘンリー・インタヴュー Joe Henry Interview
クリエイション、パフォーマンス、プロデュースの源泉について
ディスコグラフィ&プロダクション・ワーク Discography & Production Work

ジェームス・チャンス・インタヴュー James Chance Interview
ファンキー、パンク&エレガントなノー・ウェイヴの生き証人
ディスコグラフィ Discography

エントランス・バンド・インタヴュー The Entrance Band Interview
ブルース、サイケデリア、アシッド・ロックを幻視する、
LAの最も魅惑的なトリオとの会見
ディスコグラフィ Discography

特集 スウィンギング・ロンドンからブリティッシュ・サイケデリアへ From Swinging London to British Psychedelia

巻頭エッセイ
Shadow of Your Smile 「残照」への追憶

クロストーク
新しさへの批判・伝統への批判
河添剛×鈴木泉×福島恵一

マイク・マキナニー・インタヴュー Mike McInnerney Interview
灰色の街を塗り替えた伝説のデザイナー 山下潤一郎

カラー・グラビア
マイク・マキナニー作品集

ジョー・ボイド・インタヴュー Joe Boyed Interview
UFOクラブをつくった音楽プロデューサーと巡るロンドン・アンダーグラウンドの旅
山下潤一郎

ジョー・ボイド・プロデュース作品集『white bicycles』
世界をリードしたロック/ポップのドキュメントを聴く
大貫憲章

スウィンギング・ロンドン・フォト・アルバム Photo Album Swinging London

PSYCHEDELIC FREAK OUT!
102枚のアルバム・ガイド The 102 Trippiest British Albums of All Time
大貫憲章/河添剛/鈴木泉/平 治/福島恵一/古川博一

カラー・グラビア スウィンギング・ロンドン・フォト・ギャラリー Photo Gallery Swinging London

七尾旅人インタヴュー Tavito Nanao Interview
そして無限に増殖し広がっていくもの――彼が描く音楽と未来
湯浅学

七尾旅人小論
分裂と統合、そしてその向こう 江口正登
七尾旅人ディスコグラフィ さわやか Discography

前野健太インタヴュー Kenta Maeno Interview
あたらしい朝 磯部涼

短期集中連載
LOST IN THE '80s
[第2回]テレヴィジョン・パーソナリティーズ Television Personalities

ダン・トレイシー・インタヴュー Dan Treacy Interview
心の中では 俺は囚人 清水久靖

クロストーク
テレヴィジョンが受像したポップ・ミュージックの歪んだ亡霊
河添剛×清水久靖×平 治

テレヴィジョン・パーソナリティーズ・ディスコグラフィ Television Personalities Discography
河添剛/清水久靖/平 治

[連載]
Greeting from ULYSSES

[ユリシーズ レ・ヴァリエテ]
◎奇跡の軌跡に勇気をもらう スタッフ・ベンダ・ビリリ 松山晋也
◎ワイルド・サイケを歩け Finders Keepers サラーム海上
◎FRICTION LIVE in Seoul “息”と場の流動 間奈美子
◎AND THE LIFE GOES ON 山下達郎「街物語」への雑感 吉留大貴
◎米インディペンデント・アート・マガジンの高度なロック性 河添剛
◎フットボールデカスロン 虹釜太郎
◎ブリテン的労働者階級とロックの距離感 ブレイディみかこ
◎オルタナティヴ・メディアとしてのビッグイシュー 今井晋
◎ジジェクによる『こうもり』/『こうもり』によるジジェク 石川義正
◎連載 DJ SUPERNATURALISM 大貫憲章
◎連載 Check the Wardrobe 松井清

DISC REVIEW
河添剛/平 治/清水久靖/松山晋也/サラーム海上/高橋芳朗/磯部涼/小川真一/五十嵐正/福島恵一
ユリシーズ  No.2


連載第2回目が載ってます。 今回はジェームス・テーラーについて。 手に取ってみてください。


 



シンコーミュージック CROSSBEAT 2010年04月号増刊 ULYSSES No.2

ジプシー・パンクが世界を疾走る
同時代の最重要バンド、ゴーゴル・ボーデロのライヴをウクライナで見た 石田昌隆

Dream of Life with Patti Smith
我が生涯のアイドル、パティ・スミスに招かれて 石毛栄典

歌うことと踊ること──大野一雄のために
アントニー・ハガティ(アントニー&ザ・ジョンソンズ)、その表現の核心を語る 熊谷朋哉

特集
頭脳警察
インターナショナルな左翼と音楽の自由 パンタ・インタビュー 鈴木泉
パーカッションという自由 トシ・インタビュー
頭脳警察とヒューマニズムの諸問題 鈴木泉
「左翼」とは何か 四文字熟語をめぐって 河添剛
ディスコグラフィ 高沢正樹

特集
ベスト・アルバム2009
★外国人ミュージシャン・評論家、日本人ミュージシャン、読者が選ぶ10枚のアルバム
ノエル・アクショテ/デヴェンドラ・バンハート/ガイ・ブレークスリー/ニック・カストロ/マーシャル・クレンショウ/リオネル・デカネル/ジュ ディ・ダイブル/ミシェル・エステバン/イナラ・ジョージ/クライヴ・グレッグソン/デヴィッド・グラブス/ギヨーム・ラングル/アル・クーパー/エリ オット・マーフィー/工藤冬里/直枝政広/ジム・オルーク/小山田圭吾/チャック・プロフェット/坂本慎太郎/オマール・ソーサ/ブリジット・セント・ ジョン/マーク・スチュアート/スティーヴ・ウィン/ダミアン・ユース/松下慶太

★本誌執筆陣、評論家、作家が選ぶ20枚のアルバム
五十嵐正/磯部涼/大貫憲章/小川真一/河添剛/熊谷朋哉/サラーム海上/清水久靖/鈴木泉/平 治/高橋芳朗/中原昌也/南部真里/福島恵一/古川博一/松山晋也

特集
ポスト・ザ・ビートルズ 1970-2010
クロストーク
存在と時間 ビートルズの"現在" 大貫憲章×河添剛×清水久靖
あたかも水や空気のように……ビートルズ解散後四〇年──その不在と遍在 福島恵一
誰かがどこかで彼らの歌をうたっている ビートルズ・カバー雑感 柴田元幸
われわれは何を買わされているのか 新リマスターCDから考えるビートルズの「オーセンティシティ」 吉田寛

特集
サラヴァ・レコード
世界にただひとつのインディ・レーベル
サラヴァ讃 L'Improbable Ulysses 河添剛
地球を綱渡り──ピエール・バルーの終わらない旅 松山晋也
サラヴァの時代 ピエール・バルー、人生とインディの真髄を語る 河添剛
La Discotheque SARAVAH du pollen dont on s'est nourri...
世界の恐怖を前にして ブリジット・フォンテーヌとアレスキが語る ベルナール・ブラン 翻訳=河添剛
Who's Who(De qui parlez-vous?)サラヴァのアーティストたち 編集部

[ユリシーズ レ・ヴァリエテ]
●真理の紋章として現れた大いなる自由、活力、爆笑の魔術
●テレビをやめてみないか考 石毛栄典
● 今、こんな音楽をかけてどーするんだ 絲山秋子
●たったひとりの{多声楽|ポリフォニー} 星野太
●「直島銭湯『I LOVE 湯』」──死を経ず「極楽」に詣でる 朝吹真理子
●ブリュッセル、昼と夜の間で 熊谷朋哉
●オールドパンクとゴム長靴 ブレイディみかこ
●凍土にいるときゃ、ツンドラと呼ばれたの。 安田謙一
● HIP HOPとはなにか? 佐藤雄一
●唯一美しいと呼びうるツェッペリン写真集 河添剛
●最適なプレゼント 音楽を彩色する 河添剛
● 音楽活動30周年を迎えたイクエ・モリ 鈴木泉
●連載 DJ SUPERNATURALISM 大貫憲章
●連載 Check the Wardrobe 松井清

GALLERY
Devendra Banhart
Tokyo,February,2010
photographs by IZUMI SAITO

Greetings from ULYSSES

リゴドン 主張する「ギョーカイの張本人」
【第2回】佐久間達也(カラーフィールド社長)

DISC REVIEW
河添剛/平 治/清水久靖/松山晋也/サラーム海上
高橋芳朗/磯部涼/小川真一/五十嵐正/福島恵一

執筆者プロフィール 後記・奥付

商品名 :CROSSBEAT 2010年04月号増刊 ULYSSES No.2
判型 :B5判
ページ数:180ページ
定価 :1,200円
手塚治虫研究 #3
   

 手塚治虫はドタバタな30代から40代と突入して、急に45歳くらいからまた漫画に集中していく印象がある。ドタバタしながらもどうして45歳ぐらいなのかというと、借金がなんとか返せた時期なのかもしれない。今のアニメーターが安月給で苦労する始まりは手塚治虫のせいだと言われているのは、アニメをテレビ局に恐ろしく安い値段で売り出したのが原因のようだ。アニメを普及させる意図はあったみたいだけど、そのせいで、アニメは安く買いたたかれるという地盤ができたようなたのは本当によくないことだと思う。  

 アニメ会社虫プロ倒産後、すこしは落ち着いたのだろうけど、時代は手塚を過去の人ととらえていた時代。秋田書店がブラックジャックの連載を載せたのも今までお世話になったからしょうがないという感じだったらしい。でも、そこから「陽だまりの樹」「アドルフに告ぐ」と、再びしっかり構成された長編を描けるようになったのが底力を発揮したように感じる。自分で描きたいものを描く姿勢が全面に出ている作品だと思うし、きちんと取材がされて描かれているところも本人の意気込みがあるものの残念ながらその後「ネオ・ファウスト」を描いている最中に60歳で亡くなってしまうのだけど。1970年代の手塚治虫があったからこそ、この作品ができたのかもしれない。もし、アニメ制作に手を出してなかったらどんな漫画が読めたのだろうっと思ったり、もう少し長生きされたのかなと思ったり。僕は手塚アニメには全面的に否定的な見方が強い。  

 ざっと歴史を振り返って言えることは、手塚治虫は漫画の神様ではないと言うことだ。一応神様という位置づけは全能だとおもうのだけど、手塚治虫は70年代は自分の大好きな漫画の神様にさえ嫌われた印象が強い。借金に悩んだり、あきらかに投げやりな漫画を描いてしまったりするのだけど、言い換えればこの人間味が手塚治虫の魅力であり欠点でもある。僕は手塚治虫のことを考えるとピカソに似ているなあといつも思う。ピカソも同様に雑な作品は多いけどゲルニカを描いた作家ということで僕は尊敬する。  

 本当に漫画家として不遇な70年代の漫画を見ていると時々痛々しくなる。とても雑なのだ。東京に出てきた当時も連載を抱えすぎて雑だし、僕はやはり大阪時代の手塚治虫の漫画を読んで幸福な気分になりたい。いろんな楽しいキャラクターが冒険しディズニーとドストエフスキーに憧れる青年こそが手塚治虫だと思う。そんな手塚治虫だけを見ていたいのだけど、手塚プロはわけのわからないキャラクターグッズを売りまくっているし、ヒューマニスト手塚治虫を全面に押し出して商売している。手塚治虫の魅力はそこではないはずだ。人間臭くて、バタ臭い(死語らしい、バタ臭いって言葉)のが手塚治虫だと思うのだけど。そしてまったく信頼しきれないのが手塚治虫だと思うのだけど。    

 すべてひっくるめて手塚治虫がお好きですか?手塚治虫を好きというのは勇気がいりそうです。  何が漫画の神様だ!手塚先生、天国でも癇癪をおこしてそうです。

写真/ふしぎな旅行記 手塚治虫自身は制作ノートで、がんばって描いた割にはあまりうまくいかなかった作品と描いていますが、僕は好きな作品のひとつです。いきなり主人公が死んで幽霊となって冒険するところがおもしろい。
手塚治虫研究 #2
 

 手塚治虫の最もすばらしい時代はいつの時代か? と、僕が思うのは、やはり初期と晩年に限るような気がします。
 初期というと、1947年に「新宝島」を19歳で発表して、1952(昭和27年)年に東京に出てくる前の5年間。特に初期SF3部作(ロストワールド、メトロポリス、来るべき世界)の3冊は、現代にも通用するし、この3作をその後の作品はこの3作を焼き回している感じがあると思う。  
 大阪時代は本当に良質な漫画を描いているのだけど、その核になるのはディズニーへのあこがれと終戦とドストエフスキーだと思う。ドストエフスキーのよい影響は「罪と罰」の漫画化にも見られるし、「来るべき世界」などは、キャラクターの描き方などがとてもドストエフスキーっぽいなあと思う。時代がそうさせたのか、言い過ぎだと思うけど「来るべき世界」は手塚にとって「カラマーゾフの兄弟」を目指したのかなあと思う。ドストエフスキーは遺作が「カラマーゾフ」なのだけど、手塚治虫は若干20歳そこそこで、ピークを迎えたのかもしれない。    
 
 その後東京で下宿して(有名なトキワ荘、並木ハウスなどで)、漫画を書いていた頃はアトム、ジャングル大帝、リボンの騎士が生まれ、手塚治虫の実力と人気が頂点の時代だったと思うのだけど、連載を抱えすぎて話にムラがあるのが残念なところだ。  
 ジャングル大帝は本人がもっとも集中して描いていたようでストーリーにぶれがないけど、アトムもエピソードによってはひどいし、リボンの騎士(少女クラブ版、はじめのシリーズ)も中盤から少し飽きているのが感じられて残念だ。と、佳作が多いのは東京に来て浮かれてしまったのではないかと思う。藤子不二雄の「まんが道」では、とても年上のように描かれているが実は5、6歳しか違わない。手塚治虫が東京に出てきたのは24歳の時なので、浮かれてしまってもしょうがないと思う。  
 そこから結婚するまでの31歳まで、本当に漫画に集中していた感じがするけど、手塚治虫に陰りが見えてきたのは30代からだと思う。漫画流行についていけなくなってくるという悲劇が生まれる。  
 
 つぎつぎと新しい漫画家が出てきて、新しい漫画が生まれ、時代遅れと言われだし、流行に飛びつく癖が出てくる。トキワ荘の後輩たちにさえ嫉妬し、画風をまねてみたりする始末。幸福なことにトキワ荘のメンバーたちは手塚治虫を神様だとおもっていたので(石ノ森章太郎だけは、一度本気で手塚治虫に怒ったエピソードがのこされている。結局手塚治虫が平謝りしたらしいけど)、トラブルにはなっていないが、兎に角、30代の漫画は本当にいろいろな漫画家の作風を真似だし、劇画ブームも到来し落ち込み、筆が荒れている印象がある。そして、何よりもアニメ制作を始めたのが漫画に悪い影響を与えだしたと思う。

 ディズニーに憧れて漫画を書き始めた手塚治虫なのだけど、アニメ制作は共同作業なのでことごとく向いてなかったみたいだ。人の上に立つタイプではなかったのだと思う。アニメーターが失敗したり、間に合わなかったから、すぐ怒りだして自分で描くというのがよく言われているエピソードだけど、その上、経営面でもどんぶり勘定で多額の借金をつくってしまう。それで適当な漫画で借金を埋めるという悪循環。手塚治虫の癇癪持ちは有名みたいで、いらいらしたり、どなったり。
 漫画の神様はアニメーションの神様ではなかった訳だ。(#3に続く)  
写真/メトロポリスの見返し部分
手塚治虫研究 #1
   
 
 小学校の時の夏休みや冬休みに勝手にいろいろ研究ということにして宿題を提出していたけど、その名残か何でも研究という名前のもと片っ端から本を読んだりするのが好きな性格で,今でも勝手に一人で「今月の研究は・・・」といいつつ本を読んだりレコードを聴いたりしているわけです。 ここ半年の研究テーマは、手塚治虫でした。 手塚治虫を読み出したのは世間的には低迷期の80年代、僕が小学校の頃です。理由は簡単,兄が全く世間では下火の手塚治虫全集をそろえていたのがきっかけでした。(かなり大変だったとおもう。中学生の兄は古本屋をまわったり、ほとんど絶版だったはずだから)    
 
 まず、僕の兄がどうして手塚治虫を集めていたのか?ということだけど、それは藤子不二雄の「まんが道」を読んだことだと思う。まんが道では、本当に手塚治虫は常に絶対的な神様だ。僕も「まんが道」読んでしまったので手塚先生は神様と刷り込まれてきた。手塚治虫がなくなった次の年ぐらいに「来るべき世界」(初期SF3部作)が出版されたときは、まんが道の満賀道雄のように兄の部屋に駆け込んだものだけど。どういうことかというと、読む前にいろいろ期待が高すぎて、読めること事態に感動したほどうれしかった。  

 そう、でも手塚治虫は亡くなってから神話化された気がする。よくない傾向だと思うのだけど理由は簡単で、本屋さんで手に入りやすくなっていろんな人が読み評価したからだと思う。僕の小学生のころは少年ジャンプ全盛期。あーたたたたたたた。カメハメハ。という時代。  

 この文章のテーマはつまり世の中で神話化されている漫画の神様は本当に漫画の神様か?ということだ。僕は何の疑いもなく漫画の神様だと思っていたのだけど、知れば知るほどちょっと違うのではないか?思ってきているのが実際のところだ。    

 どうして手塚治虫にこの時期、まとめて読んでいるかというと生誕80年とかで、まさかのデビュー作「新宝島」がデジタル技術のおかげで復刊されたのがきっかけでいろいろ読み返している。この「新宝島」という本がどうして今まで読むことができなかったというと簡単に言うと酒井七馬という一応原作・構成者との確執ことだ。勝手に顔を書き換えたり。  

 この「新宝島」は藤子不二雄が漫画家になるきっかけになったり初めてクローズアップが漫画で使われたりなどいろいろ逸話があるのだろうけど、面白いかというと残念ながら思い入れがない現代の子供が読んだらつまらないかもしれない。  

 僕がどう思うかというと、本当にのびのび描いていて、描いていて幸せなんだろうなって言う作品だと思う。実際、手塚治虫の母親が喜ぶ姿をみて本人もうれしかったと日記に書いているし、本人の意気込みを感じるいい作品だと思う。後に手塚が書き直した「新宝島」と比べてもこのオリジナル版の方が新鮮で楽しい。    

 また、初めて昭和22年に発行された装丁で復刻された手塚作品を読むと今まで読んでいた手塚作品、実はいろいろ誤解があったのかもしれないなあと思い始めました。それは、本のすばらしさにも通ずる話なんだけど、本というのは装丁も含めて本だと言うことだ。それと大きさ。手に収まるB6ぐらいのサイズ。紙の感じ。本を作ることに愛情を持って取り組んでいるなあと関心してしまう。  

 では、どうすれば当時の状態の本をよめるか?と調べてみたら実にたやすく安価で手に入るものなのですね。実は、初期の手塚作品は昭和55年に当時の装丁で復刻されていました。手塚治虫は当時、「陽だまりの樹」を描いていた時で、その時に復刻されたということは亡くなる8年前。考え過ぎかもしれないけど、死期を悟っていたのかな。  

 今、古本市場では、1冊2千円前後。買えない値段ではない。と、僕の手塚治虫研究といういい訳が始まった理由です。気がつけば古本屋に立ち寄る日々。  

 手塚治虫研究は半年続いた訳でが、今月で終了です。今月、ついに「ジャングル大帝 漫画少年版」というものが発売されます。    

 こんなもの、まさか読めるとは思っていなかった。どうしてかというと、当時の漫画少年という雑誌はカラーページが豊富で当然ジャングル大帝もカラーページが多かったようですが、当時それを文庫化するものの雑誌と文庫の大きさが違うため、内容を切り貼りして編集しなおしたり。結局文庫本を出していた学童社が倒産して2巻までしか出なくて中断したり、はじめのほうの原稿を紛失してしまって全集をつくる時に手塚治虫が書き直したりと、オリジナルのジャングル大帝は当時の雑誌の連載の中でしか読めなかったからです。それが、今回、当時の雑誌をスキャンしてデジタル技術でノイズ(ゴミ、かすれ)を取り除き出版。
 と、ほとんど墓あばきのような出版なのだけど なんとしても読みたかった作品なので、とてもうれしいところです。(#2にづづく)

 http://shogakukan-cr.jp/juncle/
ユリシーズ 2010年 01月号 クロスビート増刊 別冊クロスビート
イラストの連載をすることになった雑誌がでました。書店に自分の記事の載っている本が並んでいるというのはなんだかそわそわするものです。そわそわです。雑誌時代は、なんだか懐かしい音楽のことにあつく書いていて、いい雑誌だなって思える雑誌でよかったです。創刊号だったので、どういう雑誌かよくつかめてなかったもので。今後の記事の参考になります。要するに自分の好きなものを好きだと書けばいいのだなって。是非、手に取ってみてください。